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都議会民主党、産科救急搬送で再度申し入れ

 都立墨東病院の案件に続き、杏林大学病院の件も報道されている中、都議会民主党の申し入れをも踏まえ、10月31日に「東京緊急対策2」が発表され、11月6日には平成21年度東京都予算に対する各局予算見積が明らかになりました。
 しかしながら、なお不十分なため、11月7日、再度申し入れを行いました。

 

 

2008年11月7日

 

東京都知事
石原慎太郎様

 

都議会民主党      
政策調査会長

 大 沢 昇 

 

東京都における医療提供体制(とりわけ周産期母子医療)強化について

 

 昨年来、医療計画の改定作業が行われている中で、民主党としてもさまざまな提案を行い、先月28日にも要請を行いました。

 

 奈良の事件以来、民主党は、東京でもいわゆる妊婦のたらい回しによる死亡は、いつ起きてもおかしくない状況であるとの医療関係者からの指摘を受けて取り組んできましたが、ついに都内でも起き、続けて報道されています。また、全国的な勤務医師不足から、隣接県で救急受け入れ休止などが発生すれば、都内医療機関への搬送依頼が一層増加することも懸念され、事態はさらに深刻になると考えられます。

 

 こうした中、先日発表された東京緊急対策Ⅱの周産期医療緊急対策は、必要な対症療法であり、限られた資源のなかでの懸命なやりくりはされています。

 

 しかし、これだけ切迫している事態への対策としては不十分であると言わざるを得ません。東京の保健医療施策の方向性を定めた「東京都保健医療計画」を変更して、都の目指す医療提供体制を明らかにし、予算を集中投下して、緊急事態に臨むべきです。

 

 石原知事の政治姿勢が問われる事態であり、本気の取り組みを求め、再度申し入れます。

 

 

1.医療計画の変更(「医師はいるが、満床のため受け入れ不能」をなくすために)

 

①NICUの整備目標値を、都内新生児の実態にあわせて定めること。必要な予算を措置すること。(民主党の試算では、300床必要です。)

 

 都は、新しい東京都保健医療計画で、NICUの整備目標値を示しませんでした。従来目標としていた200床は、国の新生児1,000人当たり2床という標準数と同じですが、目標がほぼ達成されていても、満床による搬送受入困難は日常化しています。

 

 医師・看護師の不足が続き、周産期医療の不採算性が依然解消されない中では、手厚い人員配置を必要とするNICUの整備が厳しいことは十分理解しております。

 

 しかし、目の前にあるニーズに応えるために、困難な高い目標となっても、必要数を目標として立て、その達成に要する措置を検討し、講ずる姿勢を求めます。

 

 

②周産期病床を、医療法による病床規制の特例として増床し、救急搬送用病床として確保すること。それに必要な予算を措置すること。

 

 ハイリスク妊婦増加に加え、正常分娩も二次医療機関や周産期母子医療センターに集中しています。

 

 各医療圏ごとの病床数は、医療法の規制で基準病床数を超えての整備は原則としてできません。7月1日現在、墨東病院のある区東部は基準病床一杯、隣接する区東北部は-1、区中央部は過剰、極めて手薄な多摩地域でも空きは少ないのが現状です。

 

 しかし、法の特例として周産期医療の病床は、増床することが可能です。直ちに母体搬送体制確保に必要な、予算を含めた所要の措置を講ずること。

 

 

③知事は、①②により変更した計画の達成のため、法に基づき与えられた権限を全て行使すること。

 

 都の医療提供体制の崩壊を防ぎ、この社会に不可欠な財産をさらに強化して次世代に受け渡すためであれば、後世に負担を残すこともやむを得ません。必要な予算を確保すること。

 

 その上で、必要があれば、医療法§31の11の定めるところにより、周産期医療の病床確保のために勧告を行うこと。

 

 

2. 10月28日に都議会民主党が申し入れた事項を実施すること。

 

 なかでも、緊急に実施できる課題については、即時検討を開始し、一刻も早く実施すること。特に、医療人材の確保を伴わない、5.6.7については今月中に着手すること。

 

(再掲)

○中長期的課題

 

 1.勤務医師確保

 

  ・まず何よりも国策により高度医療に携わる医師を養成・確保することが前提ですが、離職医師の復帰、研修医の産科転向など、既に養成済みの医師を産科の現場に戻す取り組みを行うこと。

  ・勤務医師の激務改善のため、労働基準法が遵守できる医師・看護師の配置ができるよう、都独自の支援を行うこと。

 

 2.医療資源増強

 

  ・NICU並びに後方病床(GCU)を増やし、その医師・看護師等人員配置についても、都独自の支援を行うこと。

  ・特に都立病院については、医療環境の整備、休日、研究時間の確保など、スキルアップも仕事として捉え、高度医療に意欲ある医師が集められるような体制を整備すること。

 

○緊急に実施できる課題

 

 3.周産期母子救急搬送コーディネーター設置

 

  ・国による制度化が前提ではありますが、現在、総合母子周産期医療センターを調整役としている搬送先調整は、人員に制約のある医療側に多くを求めることは危険です。救急司令室への周産期母子搬送コーディネーター設置など、転院搬送・救急搬送先の選定の司令塔機能設置を検討すること。

 

 4.最新の情報機器を配備すること

 

  ・診療情報については、現場にリアルタイム入力を求めること自体が無理です。周産期を含め、救急診療情報が現場の手間を取らずに、随時更新できる、ICタグなど最新のシステムを導入すること。当面の措置として、更新事務を担う医療知識のある人員を配置できるような支援を早急に実施すること。

 

 5.休日夜間の緊急受け入れ体制強化

 

  ・医師養成による人員確保には時間がかかるため、周産期母子医療センターから二次救急医療機関への逆搬送、相互の医師派遣など、連携を行う病院への支援を強化すること。

  ・こうした連携によっても事態が改善されない場合には、緊急措置として、周産期母子医療センター機能をある程度集約化し、十分な人員体制を徹底できるようにして、個々の医師の負担を軽減し、患者受け入れ態勢を立て直しながら、医師確保を進めることも検討しておく必要があります。

 

 6.救急搬送体制の強化

 

  ・救急搬送についても、受け入れ先確定困難、利用増などにより、搬送にかかる時間が延びており、救急隊の増強、救急車の増配備とともに低体重児に対応できる設備を増やすことが必要です。

 

 7.救急搬送事案の事後検証

 

  ・人手不足-患者受け入れ困難-事態切迫-救急との意思疎通に課題-さらに受け入れをためらう-たらい回し、という悪循環に陥る危険もあります。

   なぜ受け入れられなかったか、その時のやりとりや実際の状況を事後的に確認して、課題と対策を検討し、対策を実施すること。

 

以上